非定型のうつ病は、20~30代前半の若い世代に見られる特殊なうつ病で、
重圧から逃げようとするかのように、うつ症状があらわれてきます。
困難から、無意識に逃げようとするかのように症状が現れます。
周囲からの期待・評価・自己評価の高い、失敗を知らないエリートタイプに多く現れる傾向にあります。
仕事の重圧から、失敗・挫折への不安やストレスを強く感じ、自分を守るため、つまり、否定されることから逃げるために症状が出るとも考えられています。
アメリカでは全人口の3.8%が非定型うつ病と言われています。内因性うつ病が10.3%に比べ少ないケースです。
今回の目次
- 非定型うつ病の特徴
- 内因性うつ病(一般的なうつ病)と非定型うつ病の違い
- 非定型うつ病の診断
- 非定型うつ病の治療
- 【体験談】会社に行けなかった僕への神対応
非定型うつ病の特徴
退却型うつ病
- 家族や友達関係では特に問題がない
- 職場のことを考えたり、出勤しようとすると、吐き気や朝起きられないなどの体調不良が起こる
- 突然の欠勤
- 突発的な逃避行動
- 一度出勤してしまえば、さほど、抑うつ症状も感じず、一日を過ごしてしまう
- 通常のうつ病とは大きく異なる
逃避型うつ病
- おっくう感
- 次第に欠勤
- 長期で仕事を休んでしまう
- 休養中は元気
- 職場への復帰が現実になるととたんに不調に
- 職場や学校などと向き合う状況で、おっくう感が出てきて逃避してしまう
新型うつ病
俗に言う新型うつ病というのは医学用語ではなく、「マスコミ用語」です。
特徴として、
- 不眠に悩む
- 職場で激しく落ち込む
- 自分を責めるのではなく上司のせいにする
- 休職中にもかかわらず旅行には出かける
などの特徴がありますが、診断基準がないため「病気」だと判断されません。
しかし、「適応障害」「発達障害」「回避性パーソナリティ障害」「境界性パーソナリティ障害」が
抑うつ症状として、表に現れたケースがありますので、専門のカウンセリングでないと発見が難しいことがあります。
内因性うつ病(一般的なうつ病)と非定型うつ病の違い
内因性うつ病とは症状が違うだけではなく、抗うつ薬が効かないタイプです。このことは50年以上も前から確認されていました。、内因性うつ病では、早朝覚醒で睡眠が短くなったり、食欲がなくなって体重が減るのに対して、非定型うつ病では、逆に寝すぎる傾向が見られ(過眠)、過食や体重増加がある。
また、内因性うつ病では、喜ぶことや楽しいことがあった時でも、それらが感じられず、テンションが上がらないのが特徴ですが、非定型うつ病では、そうではなく、むしろ周りの出来事に過敏に反応する傾向があります。
もう一つの特徴として、内因性うつ病では、自分を責めることが多いが、非定型うつ病では、周りを責めることが多い。
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非定型うつ病の診断
Ⅰ 気分の反応性 良い出来事や楽しい出来事に対して、気分が明るく反応する。うつがなかったときの反応を100としたとき、三カ月以内で最も反応したときの反応が50以上であれば、反応有りと判定する。
Ⅱ 関連症状 次のうち二項目以上該当
A.体重増加または過食 体重増加は4キログラム以上で、有りと判定。過食は、食べたいという強い欲求が週5日以上、過食したいという欲求や何度も食事をする日が週3日以上、もしくは、無茶食いをする日が週2日以上で、有りと判定。
B.過眠傾向 睡眠時間の合計が10時間以上、もしくは、うつがなかったときに比べて、2時間以上増加。
C.鉛のような体の重さ エネルギーが切れたようで、体が鉛のように重く、些細なことにも努力が必要である。1時間以上そういう状態がある日が、週に3日以上ある。
D.拒絶に対する過敏性
最近の2年間で、つぎのうちのいずれかが認められたとき、有りと判定。
① 対人関係の過敏さ 拒絶や批判されることに過敏で、馬鹿にされている、責められていると思って、激しく落ち込んだり、強い怒りを感じたりする。
② 不安定な対人関係 拒絶されている、責められていると受け取ってしまいやすいために、トラブルや言い争いになりやすい。
③ 社会的機能の障害 拒絶や批判に対する過敏さのために、学校や仕事に行かなくなったり、辞めたり、飲酒量が増えたりしたことがある。
④ 親密な関係の回避 拒絶や傷つくことを恐れて、親密な人間関係を避ける。
⑤ その他拒絶の回避 拒絶や非難を恐れて、生活上の課題を避けようとする。(失敗や断られるのを恐れて、面接や就職を避ける。非難されると思って、必要な出席や課題の提出、しなければいけない用事ができない)
http://www.clinic.kokoro-support.net/menu2-b.htmlより引用
非定型うつ病の治療
非定型うつ病は休養や治療では治りにくい傾向があり、もし、治療を続けても治らない場合は、臨床心理士など、専門のカウンセリングを長期間受けるなどが必要です。
主な治療薬として、MAO-I(モノアミン酸化酵素阻害剤)という薬があるそうですが、日本で未承認の状態のようです。
【体験談】会社に行けなかった僕への神対応
この記事を書いていて、僕は「退却型うつ病」に今の現状がすごく当てはまっていました。
どうして、20年間もこの傾向に気付かなかったのだろう?と、思いめぐらせていると、
そういえば、僕は発症してから、まともに働いたことがなかったからだと、気付きました。
現在(2019.9)契約社員ではあるのですが、2ヵ月前から、症状が悪化し、会社に行けなくなってしまいました。そこで、悩んでいたら、社長が「あなたがいないと困る」と前置きした後に
「仕事の納期さえ守ってくれれば、いつ来て、いつ帰って、いつ休んでもいいよ」
と言ってくださいました。
それ以降、すぐに体調がよくなり、1日2時間~4時間の仕事をさせていただいてる状況です。
このような配慮がなかったら、僕はきっと社会生活を送れていないと思います。
きっと、ずっと、自分は「社会不適合者」だと思いこみ、「クズ人間」として、自分を評価して過ごしていたんだと思います。
今は、なるべく会社に顔を出すようにしていますが、それでも行くのが辛く、吐き気や腹痛(下痢)、起きられないなどの症状があるので、その時はLINEで会社に伝え、休むようにしています。
外出もおっくうなのですが、気分がいい時は出れるので、なるべく「楽しいこと」を想像して、外に出るようにしています。仕事に関わるような重圧のかかる外出もあるので、周りに迷惑をかけてしまったり、せっかくの「イベント」や「デート」に、体調不良で行けなかったり、するのですが、周りも徐々にわかってくれるようになってきました。
とても、感謝しています。
僕のような非定型のうつ病の方の社会復帰はどうすればいいのか?ニートやひきこもりの間にも、これらの症状がある人は多いのではないか?と思います。「社会不適合者」「クズ人間」「ゴミ人間」と思っている人の背景には、これらの症状が理解されにくすぎるのではないか?と捉えています。僕はこれから、社会の「重要な問題」として捉え、これからも、情報発信と悩める人のための相談業務をしていきたいと思います。
(参考)
http://www.clinic.kokoro-support.net/menu2-b.html
https://www.sankyobo.co.jp/dichit.html
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