うつ病は「現代病」のひとつとも言われます。
現代社会がストレス社会だと言われるほど、心が疲れやすい環境にあります。
今回の目次
- 「心の弱い人がなる病気」ではない!
- わかりにくい病
- うつ病を隠そうとする風潮
- ストレス社会
- 誰にでもなる可能性がある!
「心の弱い人がなる病気」ではない!
今でも、うつ病は精神面が弱い人がなるものだというイメージで見られていますが、
果たしてそうでしょうか?
こんなにもストレスフルな日本の社会風潮から、カウンセリングという言葉も一般化している今、本当に「心が弱い」「精神面が弱い」という理由でうつ病が発症しているとは考えずらいと思っています。
うつ病は「心の風邪」という認識が広まっているように
誰でもなる可能性のある病気なのです。
風邪にかかったことのない人はいないのではないのでしょうか?
そのぐらい、心も風邪をひきます。
しかし、たいていの場合は自然に治るものです。
ただそれが、長引いたり、治りにくかったり、長期にわたる治療が必要になる場合があります。
決して、「心が弱い」から発症するわけではないのです。
わかりにくい病
確かに、身体の病気と違って心や精神は見えませんので、
わかりにくい病気と言えると思います。
だからと言って「心が弱い」「怠けたいだけ」と間違って捉えてしまうと
「心の風邪」はどんどん重症化・難治化・長期化をすすめてしまいます。
まわりの理解・承認・配慮がどれほどその人の症状を和らげるのに必要かということを感じていただきたいと思っています。
足を骨折した人に「お前は、骨と筋力が弱いから、骨折するんだ!もっと鍛えろ」と言って
骨折した人の足をさらに痛めつけるでしょうか?
いないと思います。
でも、うつ病では、そういったことをする人がたくさんいます。
「心を強く持て!」
「がんばれ!」
と、どんどんストレスを与えていきます。
僕は心に「強い」も「弱い」もないと思っています。
なぜなら、環境で人間は変わるからです。
人には「得意」と「苦手」があるものです。肉体労働が得意な人、PCの事務が得意な人、人と接するのが得意な人、様々です。
うつ病の本人・家族・身近な人が治療するもの。と捉えるだけで、社会はやさしくなると思います。
うつ病を隠そうとする風潮
病院にいくのは恥ずかしい。
精神科は頭がおかしい人がいくものだ。
精神科・心療内科に行くには勇気がいる。
家族が病院へ行くなという。
など「病気を隠そう」とする人が多いようです。
1950年、今から69年前まで「座敷牢」といって「私宅監置」をする風習が日本にありました。
「私宅監置」とは、精神に障がいをもった人の世話をしてきた家族が、誰にも頼ることが出来ず、また世間から病人を隠したいという思いなどから、病人を閉じ込めていたことです。
1950年「精神衛生法」の施行で私宅監置が禁止されましたが、それ以降は「精神病院」に収容される流れが今尚、続いています。
そういった時代背景の中、未だに精神の病が社会的に認めてもらえない状況があります。
社会は未だ「精神の障害」に対し、わからなくて、怖いと言っています。
その気持ちは僕にもわかります。
だからと言って、その考えと
「うつ病の治療」と何の関係があるのでしょうか?
「心の不調」があったときにも、病院に行ってください。
あまりにも、精神科や心療内科の扉をたたくのが怖いというのであれば、
「内科」の受診でもいいと僕は思っています。
病気を隠すのではなく、不調を治すために病院に行きましょう。
ストレス社会
現代の社会はストレス社会ともいわれており、
人間関係がうまくいかない。
仕事が思うようにいかない。
将来に希望がもてない。
と、思っている方も多いのではないのでしょうか?
確かに、考えれば考えるほど、将来に不安になることはあると思います。
でも、それは「当たり前」のことです。
人間関係も、仕事内容も同様に「当たり前」に起きることです。
それらが、あまりにも「当たり前」すぎて、ストレスに気付いてない方がたくさんいらっしゃいます。
ところで、「HSP」と呼ばれる人達をご存知でしょうか?Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)「ひといちばい繊細な人」という意味です。
簡単に言うと、感受性の高い人です。
そのHSPの方々が現代社会において「生きにくい」と感じています。
本来、感受性の豊かさは本来「長所」であるにもかかわらず、
現代社会ではストレスの受けやすい体質として「短所」になってしまうことがままあります。
「心の風邪」と表現するのであれば、うつ病のウィルスに当たるものは「ストレス」であろうと僕は思っています。
誰にでもなる可能性がある!
人間は空気を吸わないと生きていけないように、
ストレスも感じないと生きていけません。
そのくらい、ストレスとは人間にとって必要なものです。
でも、そこにウィルスのような病原体が存在していて、
身体や心に不調をきたします。
自然に治癒される場合が多いといいましたが、苦しいのを放っておくと、身体・精神がどんどん苦しくなり、身体・精神が弱ってしまいます。
空気を吸うように、ストレスを吸っていますので、
うつ病は特別でも何でもありません。
厚生労働省「患者調査」によるとうつ病(鬱病)や躁うつ病(躁鬱病)の総患者数は127,6万人(2017年)。
日本の人口を1億2623万人とすると、約1%(100人に1人)です。
しかし、病気を隠すという背景から、この10倍はうつ病で苦しんでいる人がいると言われます。
OECD Factbook 2009の資料では、日本のメンタルヘルス障がいの有病率(人口比)が8.8%
生涯有病率では18.0%(2003年)となっています。
つまり、だいたい5人に1人の人が生涯に1回は「精神的な病気」に悩まされる。
というくらい身近なことなのです。
(参考)http://honkawa2.sakura.ne.jp/2150.html
(参考)http://honkawa2.sakura.ne.jp/2140.html
(参考)https://www.shinjuku-stress.com/column/psychosomatic/hsp/
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